おはようございます。
先日、直木賞と芥川賞の受賞者が発表されましたね!
芥川賞の若竹さんと直木賞の門井さん(ヨコハマ経済新聞より)
芥川賞受賞作品:
石井遊佳さんの
「百年泥」(新潮11月号)
若竹千佐子さんの
「おらおらでひとりいぐも」(文芸冬号)
女性二人のダブル受賞となりました!
石川遊佳さんはインドに住む日本語教師。
「百年泥」では自分の経験を活かし、主人公はまさに、インドで日本語を教える女性教師。
100年に一度の洪水にあってしまい、泥まみれになった街の中で見つけたもの一つ一つに意味があり、それに伴い不思議な体験をしていくお話。
若竹千佐子さんは岩手県で生まれ育ち、人生の大半を専業主婦として過ごしていました。
旦那さまが亡くなったことがきっかけになり小説の道へ。
彼女もまた、自身の経験を活かし夫が亡くなり孤独な日々を送る74歳の主婦を描き入賞。
二人ともデビュー作での芥川賞受賞と、まったく違う人生ながらも共通点が多いですね!
芥川賞受賞の石川遊佳さん(新潮社より)
直木賞受賞作品:
門井慶喜さんの
「銀河鉄道の父」(講談社)
同志社大学を卒業した門井慶喜さんは、その後大学職員として働きますが、その頃読んだミステリー本に惹かれ作家の道へ。
過去作品では、日本推理作家協会賞を受賞しており、直木賞の候補にもなっています。
今回の受賞作品、「銀河鉄道の父」は、国民的作家である宮沢賢治の生涯を、宮沢賢治の父の視線から書いたものになっています。
天才を育てる父親の心境を、鮮明に、かつデリケートに書いています。
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ところで、皆さんは芥川賞と直木賞の違いをご存知ですか?
二つとも小説を選考し、二つとも小説家の名前がついており、同じ日に発表されることもあり、違いがあまりわからないですよね
芥川賞は、正式には「芥川龍之介賞」といい、純文学作品を対象としています。
純文学とは、娯楽性ではなく、芸術性を持つ作品のことを言います。
有名どころでいうと、芥川龍之介の「羅生門」や、夏目漱石の「我輩は猫である」があげられますね。
余談ですが、ノーベル文学賞を囁き続かれている村上春樹氏は、その芸術的な表現力が個性として知られていますが、実は芥川賞も受賞されていません
直木賞は、「直木三十五賞」といいます。
名前元の直木三十五さんは、日本を代表する小説家ですが、脚本家・映画監督でもありました。
なので、直木賞は大衆小説を対象としています。
大衆小説は、純文学とは逆に娯楽性に重きをおいている作品を指します。
大衆小説で著名なのは、江戸川乱歩の「怪人二十面相」や横溝正史の「犬神家の一族」などですね。
このように、二つの賞は対象である小説のジャンルが違います。
そのほかにも、対象である作家のキャリアにも少し差があります。
芥川賞は、その対象作家を「無名あるいは新人作家」としており、賞の性格的にも新人の方が取るケースが多いです。
しかし直木賞は、その対象を「無名もしくは新進作家の大衆文芸」としているにも関わらず、年月が過ぎるとともに中堅の作家さんに授与されることが多くなりました。
尚、芥川賞は主に短編が対象であるのに対し、直木賞は長編でも受賞可能です。
これまで違いを説明しましたが、実際には同じ作品が候補に上がることもあり、共通点も多々あります。
なんといっても、二つとも同じ人物に創設された賞なのです。
両者、1935年に文藝春秋の創刊者であり社長の、菊池寛さんの手により作られました。
芥川龍之介、直木三十五がともども文藝春秋に貢献していたことから彼らが選ばれました。
海外のように、名誉ある文学賞を日本でも設立したいという菊池氏の想いが実ったんですね!
菊池寛氏(毎日新聞より)
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毎年テレビで話題になる直木賞と芥川賞、違いが明確になりましたか?
とても名誉あるこの賞を受賞したお三方、本当におめでとうございます。
日本では年々文庫離れがニュースになっていますね。
これを機に是非本屋さんに足を運んでください!
引用:
芥川・直木賞が決まる 受賞者、喜びの記者会見 (朝日新聞)
芥川賞と直木賞の違いとは?(Japan Culture Lab)
受賞作品はこちら!:
→ 「百年泥」
→
「おらおらでひとりいぐも」
→
「銀河鉄道の父」